「クラウドってよく聞くけど、結局どういう仕組み?」
「AWSってエンジニアなら絶対使えるようにならなきゃダメなの?」
未経験からITエンジニアを目指す人にとって、クラウドは理解しづらいテーマのひとつ。
言葉だけが一人歩きしていて、「なんとなく便利そうだけど、何から学べばいいか分からない」という人も多いはずです。
でも、今やWebサービスやアプリ開発の現場では、クラウドを知らずに仕事をすることはほぼ不可能。
基本的な概念や仕組みを早めに理解しておくことで、転職後の業務理解や学習のスピードも格段に上がります。
この記事では、未経験者でもわかるように、クラウドコンピューティングの仕組み・代表的なサービス(AWS・GCP・Azure)・初心者におすすめの学習法まで丁寧に解説します。
クラウドコンピューティングとは?

「クラウドコンピューティング」とは、インターネットを通じて、データの保存やシステムの利用ができる仕組みのことです。
簡単に言えば、自分のパソコンではなく、“ネット上のコンピュータ”を借りて使うということ。
たとえば、あなたがスマホでGoogleフォトに写真を保存したり、Gmailでメールを送ったりできるのは、Googleの持つクラウド上のサーバを使っているからです。
クラウドの特徴は以下の通り:
- サーバやシステムを自前で持たなくてもいい
- 必要な分だけリソースを使える(=無駄がない)
- 世界中どこからでもアクセス可能
このように、「買う」から「借りる」への変化がクラウドの本質です。
オンプレミスとの違いとは?
クラウドの理解には、対になる存在である「オンプレミス」との違いを知るとわかりやすいです。
項目 | オンプレミス | クラウド |
---|---|---|
サーバの所有者 | 自社で用意(物理機器を購入) | クラウド事業者(AWSなど)からレンタル |
初期費用 | 高額(サーバ購入・設置) | 低め(使った分だけ支払い) |
メンテナンス | 自社で対応 | クラウド事業者が対応 |
拡張性 | 増設に時間がかかる | 必要なときに即スケール可能 |
クラウドは、初期投資が少なく、柔軟で、管理の手間もかからないため、スタートアップから大企業まで幅広く導入が進んでいます。
代表的なクラウドサービス3選|AWS・GCP・Azureの特徴

クラウドサービスにはさまざまな種類がありますが、現場でよく使われるのは以下の3つです。
- AWS(Amazon Web Services)
- GCP(Google Cloud Platform)
- Microsoft Azure
それぞれ特徴が異なるため、目的に応じて選ばれています。
以下で1つずつ簡潔に解説していきます。
AWS(Amazon Web Services)|最も使われているクラウド
AWSは、世界シェアNo.1のクラウドサービスです。
Amazonが提供しており、企業から個人開発者まで幅広く使われています。
特徴
- 初心者向けに無料利用枠(1年間)がある
- 豊富なサービス群が揃っており、用途別に使い分けできる
- ドキュメントや解説動画が多く、学習環境が整っている
よく使われる代表的なサービス
サービス名 | 役割 |
---|---|
EC2 | 仮想サーバを立てる |
S3 | ファイルを保存するストレージ |
RDS | データベースを運用する |
未経験者でも触りやすく、最初のクラウド学習はAWSから入る人が多いです。
GCP(Google Cloud Platform)|AI・機械学習に強い
GCPはGoogleが提供するクラウドサービス。
AIやビッグデータ、機械学習関連に強みがあります。
特徴
- Googleアカウントと連携しやすい
- FirebaseやBigQueryなど、開発者向けの使いやすいサービスが多い
- 学習用に300ドル分の無料クレジットがもらえる
こんな人におすすめ
- アプリ開発やモバイル開発をしたい人
- AI・データ処理に興味がある人
Microsoft Azure|企業システムとの親和性が高い
AzureはMicrosoftが提供するクラウドで、Windows系のシステムやOffice製品との連携が得意です。
特に、すでにMicrosoft製品を使っている企業が導入することが多いです。
特徴
- Windows ServerやActive Directoryとの連携が簡単
- 大企業や自治体での導入事例が多く、信頼性が高い
- エンジニア向けの学習教材も増えている
こんな人におすすめ
- 将来、企業の社内SEやインフラ系エンジニアを目指す人
- Microsoft系の業務に関わりたい人
未経験者が知っておきたいクラウドの基礎用語

クラウドの勉強を始めると、アルファベットの略語や専門用語が次々出てきて戸惑うこともあると思います。
でも、実は「基本用語」さえ押さえておけば、クラウド全体の仕組みはグッとわかりやすくなります。
ここでは、未経験者が最初に覚えるべき5つのクラウド用語を、意味+覚え方のセットで解説します。
用語 | 意味 | 覚え方のコツ |
---|---|---|
IaaS(イアース) | 仮想マシンやストレージなど、ITインフラをまるごと借りられるサービス | サーバそのものを借りるイメージ(例:AWS EC2) |
PaaS(パース) | アプリ開発に必要な環境を借りられるサービス | 土台だけ用意されていて、コードだけ書けばOK(例:Heroku) |
SaaS(サース) | ソフトウェアをそのまま使えるサービス | GmailやGoogle Docsのような「すでに完成したツール」 |
スケーラビリティ | システムの拡張しやすさ。負荷が増えても対応できる能力 | 急にアクセスが増えても“耐えられる力” |
可用性(アベイラビリティ) | サービスが止まりにくく、常に使える状態を保つ性質 | 「落ちにくい」ほど安心できるサービス設計の証 |
どれも現場で当たり前に使われる単語
これらの用語は、AWSやGCPなどのドキュメントにも必ず登場しますし、転職面接や資格試験でも聞かれることがあります。
最初はピンと来なくても、使ううちに自然と身についていくので、焦らず「意味とイメージ」で覚えておくのがおすすめです。
クラウドの基礎を学ぶおすすめの方法

クラウドは、仕組みだけを本や動画で学んでも、なかなか実感が湧きにくい分野です。
だからこそ、手を動かして体感することが何より大事。
ここでは、未経験からでも取り組みやすい学習方法を3つ紹介します。
まずはAWS無料枠で“触ってみる”が早道
AWSは、12か月間の無料利用枠(Free Tier)が用意されていて、初心者でも気軽に試すことができます。
以下のような操作を体験してみるだけでも、「クラウドってこう動くんだ」という感覚がつかめます。
初心者におすすめの操作ステップ
- AWSのアカウントを作成
- EC2(仮想サーバ)を立ち上げてみる
- S3(クラウドストレージ)に画像やファイルをアップロードしてみる
実際に操作することで、「クラウド上にサーバを作る」「ネット経由でファイルを扱う」といった基本動作の意味が体に入ってくるようになります。
書籍や動画で“理解を深める”
手を動かしたあとは、基礎用語や仕組みを整理して理解を深めておくと、より定着しやすくなります。
書籍名 | 特徴 |
---|---|
仕事で使える!クラウド超入門 | 仕組みがイメージしやすい入門書 |
ゼロからわかるAmazon Web Services超入門 はじめてのクラウド | 初心者向けに書かれたAWSの入門決定版 |
YouTubeで「AWS 初心者」や「クラウドとは」で検索
→ 無料で図解つきの解説動画が多数あり。通勤中の学習にも◎
③ ITパスポートで“体系的に”押さえる
クラウドの基礎を資格ベースで学びたい人には、ITパスポート試験がおすすめ。
国家資格でありながら、難易度は高すぎず、クラウドに限らずIT全体の仕組みを網羅的に学べるのが特徴です。
ITパスポートで学べること
- クラウドサービスの種類(IaaS/PaaS/SaaS)
- セキュリティ、ネットワーク、データベースなどの基本知識
- IT業界で使われる用語・考え方のベース
試験対策を通じて、クラウドの“位置づけ”や“背景知識”も一緒に身につくので、理解がグッと深まります。
まとめ
クラウドコンピューティングは、今やすべてのITエンジニアにとって避けて通れない知識です。
最初は「なんだか難しそう」と感じるかもしれませんが、仕組みをざっくり理解して、実際に操作してみれば、徐々に「使える感覚」がついてきます。
特にAWSの無料枠やYouTubeの学習動画、初心者向けの書籍など、今は未経験者でも学びやすい環境が整っています。
「知識を得る → 実際に使ってみる → 理解が深まる」というサイクルを繰り返せば、クラウドは必ず武器になります。
ITエンジニアを目指すなら、早い段階でクラウドの基礎を押さえておくことが、転職後の伸びを大きく左右します。
まずは一歩、AWSを触ってみるところから始めてみましょう。