「そろそろフリーランスになりたい…でも、何から準備すればいい?」
そう悩むエンジニアは少なくありません。
ポートフォリオの作り方もよくわからない、営業なんてやったことない、貯金はあるけど不安定な生活になるのが怖い──
そんなモヤモヤを抱えたまま独立してしまうと、高確率でつまずきます。
フリーランスは自由な反面、会社員とは違ってすべて自己責任。
「技術力があれば何とかなる」では通用しないのが現実です。
この記事では、フリーランスエンジニアとして独立する前にやっておくべき準備を、徹底的に整理。
ポートフォリオ・営業活動・資金計画という3大要素にフォーカスし、未経験者でも着実にスタートを切れる道筋を紹介します。
「何となく不安」を、「自信を持って独立できる」に変える。
そのための現実的で実行可能なステップを、今ここで押さえておきましょう。
フリーランスエンジニアは「準備」で9割決まる

自由な働き方を実現したいなら、まず整える力が不可欠です。
どれだけスキルがあっても、案件が取れなければ意味がありません。
この章では、フリーランスとして生き残るために必要な「準備」の本質について解説します。
守られた環境はなくなる
会社員からフリーランスになると、これまで当たり前だった「守られた環境」は一切なくなります。
上司の指示もなければ、仕事を振ってくれる営業もいない。
あなた自身が、自分の価値を伝え、選ばれる存在にならなければなりません。
活動継続のカギは事前準備
その意味で、フリーランスとして生きていけるかどうかは「独立前の準備」で9割が決まると言っても過言ではありません。
どれだけスキルがあっても、「仕事がない」「信用がない」「生活費が尽きた」状態では、活動を続けられません。
最初に整えるべき3つの武器
まず大切なのは、「案件を取るための武器」を整えること。
スキルや実績を見せるポートフォリオ、自分の強みを言語化する営業トーク、安定して活動できるだけの資金──
これらが揃っていないと、最初の一歩でつまずくリスクが高まります。
未経験でも、準備次第で道は開ける
逆にいえば、事前にしっかり準備さえしておけば、未経験からでもフリーランスでやっていけるチャンスは十分にあります。
「今すぐ独立」は必要ありません。
でも、「いつでも独立できる準備」を始めるのは、今日からでも可能です。
ポートフォリオの作り方|実務経験ゼロでもOK

ポートフォリオは、単にスキルを見せるための作品集ではありません。
「この人に任せたら、ちゃんとやってくれそう」とクライアントに感じてもらうための信頼構築ツールです。
だからこそ、見た目よりも構成・説明・意図が重要になります。
実務経験がなくてもOK!掲載すべき3つの要素
「案件をこなした実績がないから、ポートフォリオに書くことがない…」
そう思う方も多いですが、実務経験がなくてもアピールできる要素は十分にあります。
以下の3つを意識することで、仕事を任せられる人という印象を与えることが可能です。
要素 | 内容 | ポイント |
---|---|---|
自作アプリ | 課題解決型のアプリ例(ToDo、家計簿など) | 「誰の」「どんな問題を」解決したかを書くと説得力が増す |
仮想案件 | 架空クライアントの要望を想定して作成 | 要件→提案→成果物まで“案件っぽさ”を意識すると◎ |
コード品質 | GitHubのURLや、意識した設計・命名の工夫 | 「何を意識したか」説明を添えると好印象 |
自作アプリは問題解決が伝わるものを
ToDoアプリやレシピ管理など、ありふれたテーマでも構いません。
大事なのは「誰の」「どんな課題を」「どうやって解決したのか」が明確であること。
たとえば「育児中の主婦が手軽に家計管理できるように設計した」など、使う人のイメージと工夫点をセットで伝えると印象が変わります。
仮想案件はクライアント視点を意識
たとえば、「架空のカフェオーナーから予約管理システムを依頼された」という設定を作り、要件定義→ワイヤーフレーム→成果物と流れを見せましょう。
実務に近い構成にすると、クライアントも「この人は実務の流れを理解している」と判断してくれます。
コードは見せる設計を
コードそのものを見てもらうのはもちろん、どういう設計思想や工夫があるかを説明できると強みになります。
たとえば「保守性を意識してコンポーネントを分離」「命名規則を統一」など、プロっぽい視点を伝えましょう。
GitHubだけでなく、そのリンク先で簡単な解説文を添えるとより効果的です。
よくあるNGパターンと改善ポイント
- 完成物だけ貼って説明がない
→ 作品の背景や狙いを書かないと、ただのサンプルにしか見えません。 - コードを一切載せていない
→ GitHubなどにコードを公開して、読みやすく整理するだけで安心感が変わります。 - デザインにこだわりすぎる
→ 見た目より「何を考えて作ったか」のプロセスが大事。ノーコードっぽくてもOKです。
クライアントが見ている3つの視点
✅「どんな技術を使えるのか?」
✅「どんな問題解決ができるのか?」
✅「コミュニケーション力はありそうか?」
技術力だけでなく、説明力や思考力も評価対象になります。
だからこそ、文章付きの紹介ページ(Notion・ブログ・ポートフォリオサイト)にまとめておくのが有効です。
営業活動の準備

「営業なんてやったことない」「人に売り込むのは苦手」
そう感じている人は多いのに、実際に営業を練習している人は、ほとんどいません。
でも考えてみてください。
ポートフォリオがどれだけ良くても、それを誰かに伝える力がなければ、案件にはつながりません。
営業は「自分の強みを短く魅力的に伝える技術」。
つまり、一種のトレーニング可能なスキルです。
まずやるべきは「自分をひと言で言えるようにすること」
「何ができる人なのか?」を10秒で伝えられるようになると、営業は一気にラクになります。
これを作るためには、以下の視点が役立ちます:
- 自分の得意分野は?(例:デザインが得意なフロントエンド、SEOを意識したWordPress開発 など)
- 誰に価値を届けられる?(例:個人事業主向け、中小企業向け、エンジニア未経験者支援 など)
- どんな成果を出せる?(例:「UI改善で直帰率を10%改善した」など数値ベースが◎)
これをもとに、「〇〇のための□□ができるエンジニアです」と言語化しておくと、面談・応募文・SNS発信すべてが一貫性あるアピールになります。
SNS・ブログは育てる営業ツール
いきなり営業メールを送るよりも、X(旧Twitter)やブログで普段から発信しておくことで、あなたを見つけてくれる人が現れます。
たとえば
- 作ったアプリを簡単に紹介(工夫点や使用技術なども記載)
- 学習ログ(「今日はReactのuseEffectで〇〇を学んだ」など)
- 他の人の発信に感想・リアクションを添えて参加する
発信の目的はバズることではなく、雰囲気が伝わるプロフィールを作ること。
「この人、感じよさそう」「まじめに取り組んでる」と思ってもらえれば、十分営業効果はあります。
練習なしで現場に出るのは、素振りなしで試合に出るのと同じ
営業はセンスではなく、準備で差がつくパートです。
応募文やポートフォリオ説明の練習を繰り返すだけで、面談での印象は大きく変わります。
自信を持って売り込むためにも、「話すことの準備」は今日から始めておいて損はありません。
最低3ヶ月分の生活費を確保せよ

独立して最初の壁になるのが、「案件が決まるまでの生活費どうする?」問題。
スキルやポートフォリオ以前に、お金が尽きたらゲームオーバーです。
特にフリーランス初期は、収入ゼロの期間が1〜3ヶ月続くことも珍しくありません。
だからこそ、最低3ヶ月分、できれば半年分の生活費を確保してから独立するのが鉄則です。
月20万円あれば足りる?固定費の見直し術
生活費は人によって異なりますが、ひとまずの目安は「月20万円 × 3ヶ月」=60万円前後。
でもこの金額、意外と「ムダを省けばもっと減らせる」ことも多いです。
- 家賃を下げる(実家に戻る/ルームシェアも視野に)
- サブスクの断捨離(動画・音楽・ジムなど一時休止)
- 通信費の見直し(格安SIMへの切替で月5000円→1500円も可)
フリーランス初期の資金戦略は、増やすよりも減らすほうが即効性があります。
「精神安定資金」があるだけで、不安が激減する
案件が取れない日々が続くと、焦りから「なんでもいいから受けよう」と妥協してしまいがち。
そうなる前に、3ヶ月分の生活費=精神安定資金を用意しておくことで、案件選びに余裕が生まれます。
特にエンジニア職は「自分に合わない現場」に入ると、地獄です。
だからこそ、焦らず冷静に案件を選べる経済的な余裕は、キャリアの安定に直結します。
支出を抑えるアプリや副業もつなぎになる
生活費の見直しと同時に、副収入の確保も視野に入れておくと心強いです。
✅ 家計簿アプリ:『マネーフォワード ME』『Zaim』で支出の見える化
✅ 副業の一例:ライティング・デザイン・バナー制作・スキルシェアなど
✅ 時間調整しやすい単発系:ココナラ・タイミー・クラウドワークス などで月3万前後も可
本業の準備と並行して、支出を抑え、収入の“逃げ道”を作っておく。
このバランス感覚こそが、独立初期を乗り越えるカギになります。
準備不足でよくある失敗例とその回避法

フリーランスを目指す人の多くが見落としがちなのが、「準備不足が引き起こす失敗パターン」。
実は、つまずく人の原因はだいたい似ています。
ここでは、よくある3つの落とし穴と、それを防ぐための具体策を紹介します。
案件が取れない → ポートフォリオがない・雑
「応募しても返信が来ない…」
「面談しても全然通らない…」
こうした悩みの背景にあるのが、見せるものがない or 質が低いポートフォリオです。
回避法
- 最低1つは、質の高い作品を丁寧に解説つきでまとめる
- GitHubやポートフォリオサイトを“育てる場所”と考える
- 自己紹介・作品解説・使用技術・工夫点を必ず明記する
クオリティは完璧でなくてOK。
大事なのは「どんな視点で作ったか」「何を意識したか」を伝えることです。
お金が尽きる → 準備ゼロ&月単位の赤字ループ
「案件が決まらないまま2ヶ月…」
「貯金が底をついて副業に逆戻り…」
このパターンは、生活費の見積もりが甘かったことによる経済的なプレッシャーが原因です。
回避法
- 最低3ヶ月分の生活費+想定外の出費(5万円前後)も見込む
- 家賃・固定費を下げて“お金の減るスピード”を遅らせる
- 初期は“低単価でも経験を積む案件”も視野に入れる
お金が尽きると、気持ちの余裕も一緒に消えます。
だからこそ、「先手を打っておく」準備がカギです。
気持ちが折れる → 比較癖、ひとり作業による孤独
「周りのエンジニアはすごいのに、自分は…」
「ひとりで画面に向かうのがしんどい」
このタイプの失敗は、メンタルがじわじわ削られていく静かな落とし穴です。
孤独、自己否定、焦り。気づいたときには、手が止まっていることもあります。
回避法
- SlackやXの開発コミュニティに所属する
- もくもく会、LTイベントなど話せる場をつくる
- 日報やSNSで進捗をアウトプットして“比較対象を過去の自分”に変える
孤独を完全に無くすのは難しいですが、「自分だけじゃない」と感じられる仕組みがあれば、気持ちはかなり軽くなります。
まとめ
フリーランスとして生きていくうえで、技術力はもちろん大切です。
でも、最初の一歩でつまずく人の多くは、「準備不足」が原因です。
- ポートフォリオを整えて自分を見える化すること
- 自分の強みを言葉にして伝える練習をしておくこと
- 精神的な余裕を保てるよう、資金面の備えをしておくこと
これらはすべて、未来の自分を助けるための仕込みです。
いま準備に時間をかけておけば、いざチャンスが来たときに、確実につかみにいける。
「まだ早い」ではなく、「今から整える」。
それが、フリーランスで失敗しないための最大の戦略です。